爆発事故で住む家と持ち物全てを失ったエリート会社員が、たまたまその日飛行機で出会っていた男に泊めてもらうために連絡を取る。意気投合した二人だったが、その男は「俺を思いっきり殴れ」と頼んでくる。仕方なく殴ると、そこから二人の殴り合いに発展する。突然の痛みと興奮。そこには、出張続きの毎日の連続、決まりきった仕事、楽しみといえば有名家具メーカーの調度品集めだけ、という主人公の生活の中にはなかった、「生きていることの実感」があった…
 暴力的で荒唐無稽な映画ですが、「今生きているこの生活が、人間の本当の生だとは思えない」という問題を抱えた男たちが、「まあどうせ映画だし」では済まされない切実さで「おまえはそれでいいのか」と問いかけてくるような気がするのです。
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