三女は本が好きで、常に何かを読みながら、ニヤニヤしたり真剣な顔をしたりしています。そんな彼女が、先日ある小説を読んでいる最中に、
「え、ちょっと待って、え! え?」
と混乱したように叫び始めました。
「え? この世界の果てってどうなってるの? 宇宙があるんだとしたら、え、待って、壁があるの? え、その向こうって、ええ!?えええ!!」
と言いながら、頭を抱えてそこら中を歩き回ります。そしてその驚きと疑問を、ものすごい勢いでまくしたてるのですが、何を言っているのかはよく分かりません。ただ何か、巨大な地殻変動が彼女の中で起こっているのが伝わってきます。そのまま彼女は自分のノートを引っ張り出してきて、いま頭の中にある疑問を一心不乱に書き付け始めました。
「ああ〜言葉にして文字にすると、このとんでもない謎がなんか小さくなる〜!!」と言っていましたが。どうやら僕は、一人の人間が生まれて初めてこの宇宙の不思議に気がついた瞬間に、立ち会ったようです。
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