古いものを
喜んではならない。
また新しいものに
魅惑されてはならない。
『ブッダのことば』より
今月のことばは、お釈迦さまが語った言葉が、そのままに近い形で残っていると言われる、古い経典からの一節です。「愛着」について説かれていますが、深さを持つ言葉というのは往々にして、パッと聞いただけではよくわかりませんね。でも噛めば噛むほど味が出ると思うので、ちょっと噛んでみましょう。
お釈迦さまは一貫して、「愛着」を「迷い」として見定めています。考えてみると、さまざまな人に愛着を抱きすぎる人は「浮気者」として批難されますし、自己愛が強すぎると「自己中心的」、家族愛が強すぎると「付き合いが悪いやつ」になってしまいますね。その辺はまあいいですが、ロシアがウクライナを攻撃した際には「ロシア系住民を守るため」という口実があったように、全ての戦争は自国愛同士の矛盾から生まれる衝突のようですし、なるほど「愛」とは非常に厄介な人間の性質であるというのも頷けます。
何かを愛するということには、かならず優劣の比較や、内と外の二元論、包容と排除の論理がついて回るということを、お釈迦さまは深く見抜いておられたのでしょう。そして、古いものに対する愛着も、新しいものに対する愛着も、いずれも「いまここにある」ことに落ち着き、満ち足りるための道を妨げるのだと、言っておられるのだと思います。
みなさんも自分なりに、味わってみてください。
0コメント