最近、著者の石牟礼道子さんがインタビューで、『苦海浄土』を書いた動機を話されている映像を見て、心を動かされました。
「人が美しく生きるとはどういうことか、というテーマで、水俣病を題材にして書きました」
「これをお読み頂く方々にとっては、一つの災難であろうと思います。自分の背負っている重荷をその人たちに、背負って加勢して下さいとおねだりをするような気持ちで、申し訳なく思います」
以前一度読んでみた時に、病を引き起こす現代社会への「告発文」としてしか読んでいませんでした。「美しく生きる」について味わいたくて、この三月に短く入院する際に携え、再読しました。
「浄土」が題名に冠されていることの意味を思いました。救いようのない人間の苦しみ、悲しみにおいて、人間を受け止める願いに出遇うという場が、浄土なのだと。
0コメント