本『菜食主義者』(ハン・ガン 著)

 ある日突然肉を食べないことを宣言した女性が、精神の均衡をだんだんと崩して死へと近づいていく過程が、夫、姉の夫、姉の三人の視点から描かれていきます。
 主人公が何を思い、どうして病んでいってしまうのかはわからないまま、戸惑い、ともに病んでいく家族の様子が、静かに、詩的な言葉によって淡々と紡がれていきます。その透明感のある言葉遣いがある意味の明るさをもたらしてはくれるのですが、内容は全編を通して重く暗く、理解しきれない不安感に貫かれてもいます。その振り幅がこの物語の魅力だと感じられます。私は暗い話はむしろ好きなので気に入りましたが、人によっては受けつけられないかも。
 昨年のノーベル文学賞受賞者の代表作と評される一冊。

西方山 極楽寺

大阪府八尾市にある、真宗大谷派のお寺です。

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