7月 今月のことば

同じだけど、
同じでない。
360度変わった
私である。
天声人語


 今春、高校一年になった長女の新しいクラスの保護者懇談会に行った時のことです。コロナが第5類に移行したばかりで、保護者たちはまだほとんどがマスクをつけて参加していた中、担任の先生はマスクをつけていませんでした。最初の挨拶の際、先生が語ってくれたのは、新年度から生徒の前でも一度もマスクをつけていないことと、その理由でした。
「生徒たちはこの3年間、いろんな場面で、我慢すること、抑制することを強いられてきました。ですから、圧倒的に『経験』が足りていないんです。これからは我慢しないこと、思いっきり自分を解放することを学んでほしい。そんなメッセージを、マスクをしていない姿にこっそり込めているんです」
 その時僕は非常に強く胸を打たれました。そんな先生の影響を受けて、それ以降可能な限りマスクをしないで過ごすことにしているくらいです。
 思えばこの5月から6月にかけて、社会全体の雰囲気も少しずつ変わってきて、気がつくと人と一緒にご飯を食べたり、近づいて体に触れたり、歌ったり、3年前には二度とできないかのように思えた「普通の」触れ合いが見られるようになってきました。でもそれは、普通が「当たり前」になっていくこととは違うのでしょう。普通の触れ合い、普通の経験がいかに貴重なことか、もう知っているのですから。

西方山 極楽寺

大阪府八尾市にある、真宗大谷派のお寺です。

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