あの世があるかないかではない。
あの世を感じるか感じないかだ。
岡部健(医師)
昨年12月、2年間続いた臨床宗教師の学びを一通り終えることができました。研修による不在などでご迷惑をおかけしたこともございました。お世話になり、本当にありがとうございました。
さて、その学びの中で一人の医師のことを知ることになりました。宮城県を中心に、在宅緩和ケア医療の事業所を運営していた、岡部健さんという方です。
最初は呼吸器系の外科医だった岡部医師は、「いい加減に人工呼吸器を外してくれ、自然に逝きたい」と言う方との出会いや、「家に帰って子どもと一緒に過ごしたい」と懇願し、自宅で息を引き取った若いお母さんなどとの出会いが大きな転機となり、外科医の道を捨て、在宅医療の道を選んだということです。
それからは忙しい日々の中で、全く自身の健診を受けることなく仕事に邁進していた岡部医師は、五十代で全身の癌が見つかり、自身も末期患者になりました。すると、よく患者さんたちから聞いていた「あの世からのおむかえ」の話が、にわかに重要なものだと気づいたのだそうです。
「あの世」を語ること、その語りを聞くこと、亡き人との縁を感じること、自らが死んでいくその不安を誰かに吐き出すこと、そういうことの大切さに気づいた岡部医師によって、宗教者の役割が見直され、「臨床宗教師」を生み出す活動が始められたのでした。
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